celebes2005-08-08

写真は2000年8月、南スラウェシ州テンペ湖で撮影したものです(写真撮影:浜元聡子)。
テンペ湖は、ソッペン県、ワジョ県、そしてシデンレン・ラッパン県(シドラップ県)の県境に広がる湖です。雨季と乾季では、汀線の位置が異なるため、水域の広さも拡大縮小します。写真に見える樹木は、ロンタルヤシ(パルミラヤシ:オウギヤシ属 Borassus flabellifer)です。以前に紹介した南スラウェシの固有文字ロンタラは、このヤシ葉を編んで作る籠やウルチ米を蒸すための小さく編んだ籠の編み目の形(<・>) から作られたと伝えられています。(参照→id:celebes:20050714)
雨季になると、写真に見えているロンタルヤシの木は根元のほうがすっかりと、完全に水没してしまいます。木が生えているあたりは、ちょうど湖と汀線とその向こうの湿地帯の境目のあたりです。小舟に乗った男性の後ろの黄緑のあたりは水草が生い茂っています。そのあたりに小魚やテナガエビが潜んでいます。
乾季の真っ盛りである8月は、ロンタルヤシの実を売り歩く人をよく見かけます。半透明の乳白色をした果肉は、とてもさわやかそうでついつい買ってしまうのですが、新鮮でおいしいものを選ぶのは、シロウトでは難しいようで、いつも失敗してしまいます。すっかり熟して、甘くなりすぎているものばかりをつかまされてしまいます。小さなポリエチレンの袋に10ヶほど入ったものが、3袋で3,000ルピアほど。つまり全部で25円くらいでしょうか。ロンタルヤシの先端部からは樹液を採集してヤシ酒が作られます。シドラップ県を海岸に抜ける街道には、ヤシ酒とおつまみになるアヒルの甘辛煮を売る屋台が延々と続いています。ヤシ酒はのど越しがさわやかですが、糖度が高く、極めて危険なアルコールです。ついつい盃を重ねてしまうので、注意が必要です。