日本では、今日は終戦記念日です。
インドネシアの若い人々と話していると、ときどき、「日本の独立記念日はいつなの?」と聞かれることがあります。そばに50代、60代以上の人がいるときは、「日本は支配されたことがないから、独立したことがないのだよ」と、私に代わって答えてくださることが、何度かありました。離島部へ行くと、「この島に日本人が来たのは、1945年以来、初めてのことだ」と、日本語で言われたこともありました。
戦後60年を経て、いろいろな状況は確かに変化しました。しかし、忘れてはならないこともあります。バランロンポ島にも、日本軍政時代の建造物や飲料水用の井戸が残されています。日本語を話すお年寄りも、まだ大勢、暮らしています。この人々の記憶をできるだけ書き残すことも、地域研究の意義のひとつだと思うことがあります。それがどんなふうに地域を説明する技術につながるかは、まだはっきりとは見えていませんが、地域を理解する作業には、現在と過去、そして未来を結びつける視野が必要ではないかと考えています。