先日、バランロンポ島の家族にレバランのお祝いの電話をしたとき、今年は雨が多くて、たいへんだ、という話をききました。
雨季というと、一日中、雨が降り続くようなイメージがあるかもしれません。しかし、実際には、明け方、午前11時くらいからの数時間、日没後の数時間、といった具合に、断続的に雨は降ります。雨間には乾季と変わらない強い日差しが覗きますので、あっという間に地面も乾き、洗濯物も基本的には数時間で完全に乾いてしまいます。ただし、それは自分一人分の洗濯物をすればよいだけのわたしの話であって、大家族を抱えるふつうの島の住民たちにとっては、やはり洗濯物で苦労する季節のようです。
洗濯物は基本的には一家の中で、一番若い女性の仕事とされます*1。まだ就学している場合は、基本的に免除されますが、学校が休みになれば、かならず洗濯を割り振られます。またその量が、半端ではありません。
ほんの数年前までは、エコノミーEkonomiという商品名の練り石けんが洗濯には使われていました。少しずつ水で溶いて、洗濯用ブラシを使って、衣類等を擦ります。塩分濃度の高い島の井戸水でも十分に泡立つ石けんで、衣類洗濯以外にも、食器や鍋・釜などを洗うのにも使われていました。
このごろではほとんどの人が、アタック(日本のメーカーのもの)やリンソRinsoといった酵素パワーの粉洗剤を使うようになりました。さらに泡立つ上、洗浄力もあります。洗濯に割く時間も、若干、短縮されました。主婦の家事労働時間を削減した…というのは大げさかもしれませんが、その効果は少しあったように見えます。さらに、このごろでは洗濯してすすぎを終えた衣類を、芳香柔軟剤に浸すようにもなりました。これは特に、雨季にはどこの家庭もほぼ使うようになってきました。
酵素パワーの洗濯洗剤にせよ、芳香柔軟剤にせよ、普通にスーパーなどで売られているボトルやパックは、結構な値段がします。一日の食費に匹敵するくらいの値段のものを、いつもいつも買えるとは限りません。インドネシアでは、こういった洗剤だけでなく、シャンプーなども、一回分ずつがパックされら小袋製品も生産されています。一回分の値段は、基本的には500〜1,000ルピアといった小額コインか紙幣で買えるものです。小袋のものは、結果的にはいくつか買えば、ディスカウント店で大きなパックを買ったとき以上の値段がする場合もあります。しかし、まず必要なものを優先させて買う家計管理という点から考えると、実に意味のある商品なのです。一回分がパックされているので、旅行にも便利です。
雨季は鬱陶しいものですが、乾季だけ暮らしていては、決してわからないこともまたたくさんあるように思います。一年を通じて、フィールド・ワークをおこうなうことの意味は、こういうところにもあるのでしょう。

*1:ただし、未婚の男性は、自分の分だけを自分で洗います。