スラウェシ科研の若手部門の楠田健太さん(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科大学院生)が、21COE「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成研究」(ASAFAS +CSEAS)のメールマガジンに、下記のエッセーを寄せています。一カ所、修正すべき点は、このサイトはわたし個人のものではなく、スラウェシ科研のメンバーによって運営されている、ということでしょうか(笑)。また、肝心のスラウェシ科研のサイトが忘れられているようです!

<初出:http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/mailmag/list/30.html
■■フィールド・ステーション(FS)便り

「アンギン・マミリのそよぐ街」 
          ....................楠田 健太

植民地時代、セレベスの名で知られたK字状の奇妙な形をした島、スラウェシ。マカッサルはその南端部に位置する南スラウェシ州の州都であり、東部インドネシア最大の港湾都市です。誰が言ったかこの街のロサリ海岸から望む夕日は「世界三大夕日」の一つにも数えられるという絶景であり、その眺めが一望できるレストランの屋外テラスで友人たちと飲み干すビールはなおのこと格別なのです。

もうしばしそこに佇めば、「アンギン・マミリ(そよ風)」と呼ばれる心地よい風を体に感じることでしょう。同名のタイトルを冠して大ヒットした歌はいまや、風光明媚なマカッサルの代名詞であるばかりか、インドネシアで最も有名な歌の一つです。

この地の住民の大多数を占めるブギス人、マカッサル人は古くから、勇猛で造船術・航海術に長けた「海の民」として知られていました。アンギン・マミリに乗って、かれらの駆けめぐった足跡は東南アジア海域世界の各地に刻まれているのです。

そして近年、遅澤克也先生(愛媛大学)による海洋調査船・チンタラウト号の竣工(2003年)、島上宗子さんによるNGO「いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク」(http://i-i-net.seesaa.net/)の設立(2004年)、濱元聡子さん(京都大学)によるスラウェシ総合情報サイト(http://d.hatena.ne.jp/celebes/)の開設(2005年)など、長年スラウェシ地域研究に携ってきた方々による、さまざまな可能性を秘めたプロジェクトが次々と船出を迎えています。

われらがマカッサル・フィールド・ステーション(MFS)では、こうした先達の試みに続いて、スラウェシ地域研究をより魅力的なものにするための有用な中継港となるべく、資料の拡充・整理が精力的に行われています。

__________________________
インドネシア・マカッサルFS概要ページ:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta.html#8