celebes2006-08-11

マカッサルに滞在中です。こちらに来る前に、ジャカルタを経由しました。ジャカルタでは、以前、集団スリに囲まれて以来、すっかり足が遠のいていたコタ周辺を歩いてきました。京都大学東南アジア研究所のジャカルタ連絡事務所があるクバヨラン・バルから、ブロックMに、一旦、向かいます。昔、ミニバスのターミナルがあった地下空間に、小さな雑貨商店がならぶモールが出来ています。この奥に、トランス・ジャカルタのブロックM駅があります。一回の乗車は、3,500ルピア。始発なので、椅子に座って、外の景色を眺めながら、コタに向かいました。といっても、椅子の高さと窓の位置が微妙なため、外を見るのはなかなかむずかしものでした。この乗り物は、スディルマン通りやタムリン通りの車線のうち、ちょうど真ん中の対抗二車線を、トランス・ジャカルタのバス専用のレーンにしたものです。そう、トランス・ジャカルタとは、ごく普通のバスなのです。バスはほぼ5分おきに運行しており、乗員がいますので、詰め込み過ぎないように、注意もされています。ジャカルタではバスでの怖い経験を経て、タクシーにしか乗らないようにしていましたが、これは実に、安全そうな乗り物に見えました。
久方ぶりのコタでは、定番の観光スポットを隈無く回りましたが、一番の収穫は、昨年、開館したというMuseum Bank Mandiriでしょうか。オランダ植民地時代の建築物であるこの銀行の建物の、本当にすべての部屋、すべての廊下、すべての空間が、博物館として開放されています。また、タイプライター、刻印、コピー機などが時代ごとに並べられており、技術と時代の変化が一目でわかるようになっています。
建築の意匠もすばらしく、中央階段のステンドグラスや二階回廊の幾何学模様の扉など、植民地時代の建築に関心がある人には、たいへん楽しい場所でしょう。銀行の深層部への道のりは、一人だと、多少、背筋がぞくりとするものを感じます。複雑な場所にある大型金庫、個人の貸金庫なども、ひんやりとした地階に展示されていました。チーク材モダニズムの香りのするタイルを張った壁、中庭を見下ろす回廊の構造が、騒々しいコタ駅の前にあって、不思議な落ち着きを醸し出していました。空調は基本的にはいっておらず、窓が開放されていますので、外の賑わいは、内部まで聞こえてきますが、ちょうど昼食後だったこともありました。頭取室の安楽椅子で、しばらく昼寝を楽しみました。さて、その間、どれくらいの人が出入りしたことでしょうか。それにしても、2,000ルピアでこれだけ満足できる博物館に出会ったのは、久しぶりのことでした。
コタからの帰路、ホテル・インドネシアを少し過ぎたあたりで、反イスラエルの大規模デモに出逢いました。トランス・ジャカルタのレーンはもちろんのこと、スディルマン通りは北行き、南行きともに、全面的に交通がストップ。わたしもすぐにバスを降りて、デモの様子を眺めました。小さな子どもが、両親に連れられて大勢参加しているのが、ひじょうに印象的でした。
さて、ところ変わって、マカッサルです。
スラウェシ科研の最後のワークショップが8月23日に予定されています。このあと、24日から一泊二日の予定で、チンタラウト号を使ったスプルモンデ諸島へのエクスカージョンがあります。乗員に余裕がありますので、エクスカージョンにだけ参加したいという方は、ご一報、ください。連絡先は、インドネシアの浜元の携帯まで(+62-813-847-66251)。カランラン島、サラッポ島などを回る予定です。