フカヒレ

写真は2004年12月にバランロンポ島で撮影されたものです(写真撮影:浜元聡子)。
ダニアルくんの身長とほぼおなじ長さのサカナは、サメです。フカヒレを切りとって、売るためのもの。中華料理に欠かせない高級食材です。島で丁寧に日干し乾燥させたフカヒレは、マカッサルの華人海産物商に買い取られます。サメのしっぽをぶら下げているのは、おじいさんのパパ・レレンです。パパ・レレ(ン)とは、マカッサル語で「サカナの仲買人」のこと*1。浜でサカナを仲買することもありますが、普通は、海に舟を出し、海上で漁師からサカナを買い付ける人のことを指します。
島の人々は、フカヒレもサメ肉も、ほとんど食べることはありません。昨日紹介したナマコの場合、大きな船で出漁する場合は、2ヶ月間にも渡って、潜水漁をおこなったり、寄港先の漁村でナマコを買い付けたりします。島に戻ってから、豊漁祝いの宴を開き、まだ薫製加工をしていない新鮮なナマコを使ったチョト・トレパン*2を、近所の人びとに振る舞うことがあります。フカヒレの場合、島の人びとは食べ慣れていないために、食卓に上ることがほとんどありません。
ダニアルくんは、島でも尊敬されて来たパパ・レレンの孫として、もっと小さいときから、浜での買付に立ち会ってきました。大きくなったら、おじいさんのような実直なサカナ仲買人になるのでしょうか。ちなみに、ダニアルくんのお母さんは、警察官になって欲しいと思っているのでした。

*1:レレンle'lengは、本来、マカッサル語では黒を表す。papaleleと綴られたり、papalelengと綴られたりする。

*2:トレパンtrepangは、インドネシア語でナマコのこと。チョトは、さまざまなスパイスを使ったスープのこと。